Mint Residencesを選んだ理由と、今思う後悔ポイント
私は2022年、フィリピン・マカティにあるSMDCの「Mint Residences」というプレビルド物件を購入しました。1ベッドルーム、バルコニー付きの24㎡、価格は諸経費込みで約797万ペソ(約2,000,000円)でした。
本記事では、なぜこの物件を選んだのか、そして今だからこそ感じる後悔についてリアルにお伝えします。これから海外不動産やプレビルド投資を考えている方の判断材料になれば幸いです。
なぜ「Mint Residences」を選んだのか
私がこの物件を選んだ理由は、大きく分けて次の5つです。
- フィリピン経済の成長期待
当時の情報ではフィリピンのGDP成長率は6〜7%。若い人口構成と中間層の拡大によって、今後も都市部の住宅需要が高まると信じていました。 - マカティという一等地
フィリピン経済の中心であり、多国籍企業や富裕層が集まる都市。オフィス・商業施設・高層マンションが建ち並び、資産価値が落ちにくいと考えました。 - 駅徒歩圏&大型モール近接
Mint Residencesは地下鉄駅の徒歩圏内。さらにショッピングモールも近く、将来の賃貸需要や転売価値にも有利だと思いました。 - 大手デベロッパーSMDC
フィリピン最大級の財閥SMグループ傘下の開発会社。ブランド力と安心感があり、販売資料には過去プロジェクトの実績や完成写真が豊富に掲載されていました。 - 営業資料にある“値上がりシミュレーション”
日本の不動産会社が提示してくれたシミュレーションでは「5年後に1.5倍」という想定。これを見て「これは割の良い投資かも」と思ってしまったのです。
このようなポジティブな要素が重なり、私は視察もせず即決してしまいました。
今だからわかる後悔ポイント
購入から約3年。結果的にこの投資は失敗に終わりました。理由はさまざまありますが、今振り返って特に後悔しているのは次の点です。
1. プレビルドを「転売前提」で買った
当初から「完成前に売却し、キャピタルゲインを得る」という一択の戦略で購入しました。保有や賃貸という発想はゼロでした。ですが、想定通りに売却できなかった時点で“詰み”だったのです。
2. 購入ルートが日本の不動産会社だった
安心を求めて日本の仲介会社を選びましたが、彼らの多くは現地に拠点がなく、完成後の管理や売却サポートにも弱いことが後に判明しました。手数料も高く、サポートは購入時だけ。キャンセルや返金交渉はノータッチでした。
3. 「大手だから安心」という幻想
SMDCは確かに大手です。しかし、大手だからといって対応が丁寧であるとは限りません。契約後、私がメールで問い合わせても返信は来ず、英語での交渉に苦労しました。フィリピン特有の“ルーズさ”にも翻弄されました。
4. 完全に現地を知らないまま契約
私はマカティを「都心だから問題ない」と思い込んでいました。しかしマカティといってもエリアによって家賃相場も需要も異なり、現地視察なしでは精度ある判断は不可能です。
5. 撤退判断が遅れた
売れない兆しを感じながらも、「もう少し待てば…」とズルズル支払いを続けてしまいました。もっと早く“損切り”していれば、損失は最小限で済んだかもしれません。
実際の損失は?
最終的には、プレビルド支払い分の約94万ペソのうち、フィリピンのマセダ法に基づいて50%(約46万ペソ)を返金請求中です。
しかし、購入時の手数料(約100万円)、失った3年分の支払い分、そして何より「不安とストレス」という目に見えない損失を考えると、トータルで220万円以上のマイナスになっています。
私にとっては非常に高い「勉強代」となりました。
これからMint Residencesを検討する人へ
Mint Residences自体は、立地やブランド的に見れば決して悪い物件ではないと思います。しかし、「どういうスタンスで購入するか」によって成否が大きく分かれます。
・自分で現地視察できるか?
・完成後も保有・運用するつもりがあるか?
・売れなくても大丈夫な資金計画か?
こうした質問にYESと自信を持って言えるなら、前向きに検討してもよいでしょう。でも、私のように「売れるはず」「値上がりするはず」という希望的観測だけで投資すると、失敗する可能性は高いです。
まとめ:数字だけで選ばない
Mint Residencesという物件には魅力もありますが、それ以上に「自分がどう関わるか」の視点が重要です。
数字やパンフレットだけでは見えない現地の事情、言語の壁、そして“出口戦略の柔軟性”までを含めて検討することで、本当の意味で「納得できる投資」になるはずです。
次回は「プレビルド契約キャンセルとマセダ法による返金手続きのリアル」についてお話しします。