マセダ法とは?フィリピンのプレビルド物件をキャンセルして返金を受けるまでのリアルな流れ

マセダ法とは?フィリピンのプレビルド物件をキャンセルして返金を受けるまでのリアルな流れ

こんにちは。今回は、私が実際に行っているフィリピン・マカティのMint Residencesのプレビルド契約をキャンセルし、「マセダ法(Maceda Law)」を適用して返金請求をしている現在進行形の体験についてお話しします。

この連載の第3回では、物件選びの判断と後悔について触れましたが、今回はその後の“出口戦略”としてのキャンセル手続きと法的根拠であるマセダ法について、実際の流れ・注意点・感想を交えて詳しく解説します。


マセダ法(Maceda Law)とは?

マセダ法とは、正式には「Realty Installment Buyer Act(Republic Act No. 6552)」と呼ばれる、分割払いで不動産を購入した人を保護するためのフィリピンの法律です。

主な内容は以下の通りです:

  • 分割払いを2年以上継続していた場合、一定の返金を受ける権利がある
  • 返金額は支払済金額の50%(5年超支払いなら5%ずつ増額、最大90%)
  • キャンセル時には書面で通知し、デベロッパー側がその後30日以内に返金対応する義務

この法律のおかげで、物件完成前に支払いを中止した購入者も、一定の金額を取り戻せるチャンスがあります。ただし、あくまで「建物の引き渡し前」が条件です。


なぜマセダ法を使うことにしたのか?

私は、Mint Residencesのプレビルド物件を2022年に購入し、2025年5月までの36か月で12%を分割で支払う契約を結んでいました。毎月約26,000ペソ(日本円で約7万円)の支払いをしており、2025年6月に残り88%を一括で支払う予定でした。

しかし、想定通りには価格が上がらず、売却もまったく進みませんでした。むしろ値下げしても反応なし。さらにプレビルド完了時期が近づいても、マーケットの活性化の兆しがなく、最終的に2025年3月時点でキャンセルを決意しました。

このとき、日本の不動産会社経由では返金サポートはなく、自力で調べて見つけたのが「マセダ法」の存在でした。


マセダ法による返金申請の流れ(現在進行中)

私が行った手続きの大まかな流れは次の通りです。

    1. Mint Residences(SMDC)へのキャンセル通知を送付
      日本からメールにて、契約キャンセルの意思とマセダ法に基づく返金請求を正式に通知。
    2. デベロッパー側からの返答待ち
      しばらく返信がなかったが、2週間ほどして「手続きを進める」とのメールが届く。返金処理には数か月かかるとの説明。
    3. 必要書類の提出
      契約書、支払証明、パスポートのコピーなどをデジタルで提出。

※現在は、この返金処理待ちの段階です。実際に振り込まれるか、どのくらいの期間かかるかは不明です。


マセダ法返金申請で感じた注意点

  • 英語でのやり取りが必須:現地デベロッパーとのやり取りは基本英語。返信も遅めです。
  • 日本の仲介会社は対応しない:キャンセル後はサポート対象外となる場合が多い
  • 返金までに数か月かかる:公式には30日以内とありますが、実際はもっと時間がかかる印象
  • 送金先の指定や手数料にも注意:受け取り方法や為替差損リスクも理解しておくべき

私は法律の存在を自力で調べて知りましたが、仲介会社からの説明は一切ありませんでした。やはり“最悪のケース”を想定し、自分でも制度や法律を調べておくことの大切さを痛感しました。


返金額は本当に戻るのか?(現時点の状況)

現時点では、正式に返金申請を受理された段階で、返金処理の完了までは至っていません。フィリピンの事務処理スピードや為替のタイミング、銀行側の手続きなども含め、まだ予断を許しません。

このように、マセダ法による返金は「理論上は戻るはず」でも、実務上はさまざまな壁があります。今後の進捗があれば、また本ブログで続報をお伝えしたいと思います。


まとめ:キャンセルという選択肢も備えておく

海外不動産、特にプレビルド投資は“成長期待”が前面に出ることが多いですが、現実には「売れない」「値上がらない」ことも十分にありえます。そのとき、撤退の道筋が法的に用意されているかどうかは極めて重要です。

マセダ法は、まさにその「出口戦略」として、精神的にも金銭的にも救いとなる制度です。フィリピンでプレビルドを検討している方は、契約時点からこの法律の存在を理解し、最悪のケースにも備えておくことを強くおすすめします。

次回は、私がこの3年間で感じた「海外プレビルド投資が日本人にとって難しい理由」をテーマにお話しします。

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