フィリピンのプレビルド投資で失敗した私の体験記|Mint Residencesで学んだ高い授業料
こんにちは。今回は、私が実際に行ったフィリピン・マカティのプレビルド投資での失敗体験を、正直にお伝えします。
物件は、フィリピン大手デベロッパーSMDCによる「Mint Residences」。駅徒歩圏、1ベッドルーム(バルコニー付)、24平米のコンパクトなユニットでした。場所も開発の進むマカティ、購入価格は約797万ペソ(約1,990万円)、当初は「これなら絶対上がる」と信じて疑いませんでした。
なぜこの投資を選んだのか?
きっかけは、フィリピン不動産を専門とする日本の不動産会社のセミナーでした。プレビルド(未完成物件)に分割払いで投資でき、完成前に値上がり益を得て売却するモデルを提案されました。
「5年で物件価値が1.5倍に」「年5〜10%の値上がり想定」などのシミュレーションに、私はすっかりその気になってしまいました。
日本の会社が仲介し、日本語で契約・やりとりができる点でも安心感がありました。「海外投資=難しい」というハードルを下げてくれた反面、自分で考える機会を奪っていたようにも思います。
契約内容と支払いスケジュール
- 総額:約800万ペソ(諸経費込、約1,990万円)
- プレビルド支払い:2022年6月〜2025年5月、毎月約26,000ペソ
- 残金:2025年6月に約703万ペソを一括支払い
- 日本の不動産会社への手数料:約100万円(約400,000ペソ)
当初の計画では、プレビルド期間中に売却して利益を得る予定でした。保有するつもりは全くありませんでした。
実際に起きたことと感じたこと
値上がりしない、むしろ下がる
市場価格はまったく上昇せず、むしろ横ばいから微減。売りに出しても、全く反応がありませんでした。
売却のタイミングを逃す
私は2024年時点で「値上がりは難しい」と判断し、早めに売却を試みようと提案しましたが、日本の不動産会社は「まだ大丈夫」と楽観的で、売り出しも遅れ、結果的に売れませんでした。
不安とストレス
- 担当営業はすぐ退職
- SMDCに問い合わせても返答なし
- 契約書の確認や現地サポートはほぼなし
3年間、毎月約7万円を払いながらモヤモヤとした不安とともに過ごすことになり、精神的な負担は金額以上に大きなものでした。
💥失敗の背景|なぜ冷静な判断ができなかったのか?
今振り返れば、「どうしてあのときもっと慎重になれなかったのか」と自分に問いかけることが何度もあります。
①「海外×不動産×成長国」への憧れ
SNSやYouTubeでは「フィリピン不動産は儲かる」という情報が溢れ、“乗り遅れたくない”という焦りがありました。
② “プロに任せれば安心”という思い込み
日本の会社というだけで信頼し、自分で調べたり比較検討する視点を失っていました。
③ 実体験ではなく“シミュレーション”で判断
提示された数字は魅力的でしたが、実態や裏付けを確認せずに信じてしまいました。
④“売却前提”しか考えられなかった
保有や賃貸といった代替プランを考えず、「売れなかったらどうするか」を準備していませんでした。
⑤「楽して儲けたい」という心理
自分で管理せず、プロに任せて儲けたい——という甘さが、判断力を鈍らせたのだと思います。
最終的な損失とマセダ法の適用
2025年3月にプレビルドをキャンセルし、フィリピンのマセダ法を使って、支払い済の半額=455,000ペソ(約113万円)を返金請求。
ただし、日本の不動産会社に支払った手数料は戻らず、最終的な損失は約220万円となりました。
損益分岐点の試算
- 総投資額:8,372,680ペソ
- 必要な売却価格(損益トントン)=8,631,608ペソ
- 最低8.3%の値上がりが必要
リスクや時間、手間を考慮すると、少なくとも15〜20%以上の上昇がなければ割に合わない投資でした。
これから投資を検討する人へ伝えたいこと
- 現地に詳しい業者と直接契約する
- 「売却前提」ではなく「保有前提」で判断する
- 日本の会社=安心とは限らない
- 精神的なストレスもリスクと認識する
- NISAやインデックス投資のほうが堅実
海外不動産は「夢」がある反面、「情報格差」「言語障壁」「流動性リスク」など、乗り越えるべき壁も多いです。
まとめ:高い授業料だったけれど、得たものもある
この失敗で私は200万円以上を失い、3年間ずっとモヤモヤした不安と葛藤を抱えて生きました。でも、後悔だけで終わらせたくありません。
同じように「海外不動産って面白そう」と考えている方に、この体験が何かしらのブレーキやヒントになればと思っています。
海外不動産投資には夢もありますが、現実はとてもシビアです。
夢とリスクを両方見た上で、後悔のない選択をしてください。