「プレビルド物件」とは何か?メリットとリスクを元投資家がリアルに解説
こんにちは。前回、フィリピンでのプレビルド不動産投資で失敗した実体験をお伝えしました。
今回は、そもそも「プレビルド」とは何か? どんなメリットとリスクがあるのか? そして投資判断にどう活かせるかを、元投資家の視点から深く掘り下げてお伝えします。私の経験を通して、これから投資を考えている方にとって「盲点」となりやすい点も含めて解説していきます。
プレビルド物件とは?
プレビルド(Pre-Built)物件とは、建設前〜建設途中の段階で販売される未完成物件のことです。購入者は完成前に契約を結び、段階的に支払いを行い、数年後に完成した物件の引き渡しを受けます。
英語では「off-plan property」とも呼ばれ、特にフィリピン、タイ、ベトナムなどの東南アジア諸国では外国人投資家向けに盛んに販売されています。この手法はデベロッパーにとっては資金調達手段として、投資家にとっては「安く買って高く売る」ことを狙う投機的手法として普及しています。
新興国では都市部の再開発やインフラ整備が進む中で、こうしたプレビルド物件が一気に価値を上げる可能性があるとされ、海外投資初心者にも人気が高い投資対象となっています。
なぜ人気?プレビルドの主なメリット
- 価格が割安:完成前のためディスカウント価格で提供される
- 値上がり益を狙える:完成後の市場価格との差を利益として確保できる可能性
- 少額から始められる:毎月数万円〜数十万円の分割支払いが可能
- 好条件のユニットを選べる:階数・方角・角部屋など、人気ユニットが早期に確保できる
- 完成前に売却して利益確定できる:流通市場次第で、中途転売も可能
私自身もこのような“好材料”に惹かれて投資を決断しました。デベロッパーのパンフレットには、立地や将来の開発予定、周辺環境の充実などが美しく描かれ、期待を膨らませたのを覚えています。
さらに「他の投資よりも手間がかからない」「現地に行かなくても日本から契約できる」という点が、海外投資に不慣れな私には魅力的に映りました。まさに“夢のような投資”に思えたのです。
落とし穴も…知っておくべきリスク
一方で、プレビルドには多くのリスクも存在します。私が直面した現実も含めてご紹介します:
- 完成が遅れる・中止される:資金難、行政手続きの遅延、建設会社の倒産など
- 期待通りに値上がりしない:周辺エリアの供給過多、景気後退、為替下落など
- 物件の品質が想定以下:図面やモデルルームと異なる内装・設備・仕様
- 売却先が見つからない:需要が弱いエリアでは売れ残る、価格競争に巻き込まれる
- 制度の違い:外国人購入に制限がある、所有権ではなく借地権であるケースも
これらのリスクは、契約時点ではなかなか可視化されません。私も「大手デベロッパーが建てる物件だから安心」「都心エリアだから問題ない」と思い込み、十分なリサーチをしなかったことが後悔につながりました。
投資前に絶対に確認すべき5つのポイント
- 現地の不動産市場動向:直近の売買価格・賃料・空室率などを確認
- デベロッパーの信頼性:過去の実績、完成率、トラブル履歴など
- 法制度:外国人が所有できるか?税制・登記・相続などの仕組み
- 出口戦略の多様性:「売れない場合は保有できるか」を想定する
- 現地で相談できる専門家の有無:信頼できる不動産会社・弁護士・管理会社がいるか
また、「本当にその国で不動産を所有したいと思えるか?」という視点も大切です。単なる数字や期待だけでなく、その土地に対するリアリティや愛着がなければ、長期で保有する選択肢も持ちにくくなります。
実体験を踏まえたアドバイス
私のケースでは「売却できる前提」で購入し、想定より価格が伸びず、買い手も見つからず、最終的にキャンセルという判断をせざるを得ませんでした。
日本にいながら手軽に投資できる、という安心感があった一方で、「現地事情の無知」と「出口戦略の甘さ」が命取りになったと感じています。
また、毎月7万円ほどを3年間払い続けたことで、他の投資への資金も制限され、機会損失も大きかったです。投資を始めるときは、“もし売れなかったらどうするか”“完成が遅れたらどうするか”という視点も持ち合わせることが、冷静な判断につながると思います。
まとめ:プレビルドは“夢と現実”を理解してから判断を
プレビルド投資は、確かにうまくいけば大きな利益を得られるチャンスもあります。完成時には価値が1.5倍に跳ね上がったという事例も存在します。
しかし、その裏には「完成しない」「売れない」「返金されない」「物件の質が悪い」といった数多くのリスクが隠れています。実際に現地を訪れてみると、思った以上に未完成のまま放置されている物件が多いことにも驚かされます。
夢だけではなく、現実を冷静に見つめてください。
投資前には必ず、現地を視察し、自分の目で確かめ、複数の出口戦略を持つことをおすすめします。もしその国に自分が住む覚悟がないなら、その不動産を本当に持つ価値があるのかを問い直すべきです。
次回予告:
第3回の記事では、私が実際に購入したMint Residencesの選定理由と「失敗につながった判断ポイント」をさらに詳しく解説します。