なぜ日本人にとって海外プレビルド投資は難しいのか?リアルな5つの理由と対策
こんにちは。これまで4回にわたり、私が実際に経験したフィリピン不動産「Mint Residences」へのプレビルド投資と、その失敗体験について書いてきました。
第5回となる今回は、私のような日本人投資家がなぜ海外のプレビルド不動産投資でつまずきやすいのか、その本質的な理由を5つに整理してお届けします。実体験をもとにした考察と共に、同じ失敗を避けるためのヒントも紹介します。
1. 言語・文化・商習慣の壁が大きい
まず第一に、日本と海外(特に東南アジア諸国)では商習慣が大きく異なります。
- 英語での契約書の読解と交渉が必要
- 返信の遅さや書面文化の違い(口頭ベースが多い)
- “お客様は神様”文化が通じない
例えば、デベロッパーに重要な確認をしても、返事が数日〜数週間かかることも珍しくありません。さらに、法的に曖昧な表現が契約に含まれているケースも多く、日本人の感覚では“信用できない”と感じてしまうことも。
言葉の壁だけでなく、交渉スタイルやトラブル対応の感覚も大きく異なるため、日本の常識をそのまま持ち込むと、大きなミスにつながります。
2. 情報の非対称性と誤解
現地に住んでいない日本人投資家にとって、最も大きなハードルが「正しい情報が手に入らない」ことです。
たとえば:
- 実際の家賃相場や空室率がわからない
- 現地の経済や不動産市場の動向をタイムリーに掴めない
- 販売資料のシミュレーションが“希望的観測”であることに気づけない
私は日本の不動産会社から提示された「5年後に1.5倍になる」という資料を信じましたが、後から考えれば根拠が曖昧で、市場動向とも一致していませんでした。
ローカル情報にアクセスできない立場で投資判断を下すのは、極めてリスクが高いのです。
3. 法制度や契約ルールの理解不足
プレビルド投資は、完成前に物件代金を分割払いするため、法制度や契約構造の理解が不可欠です。
しかし、日本人が見落としがちなのが以下の点:
- 登記や所有権の取り扱い(外国人が所有できるのか?)
- キャンセル時のルールや返金の可否
- 税制や相続に関するルール
私は後になって「マセダ法」の存在を知りましたが、契約時にこの法律のことを知っていれば、もっと早く安心して撤退できたはずです。
現地法の知識がなければ、トラブルが起きたときに対処できず、精神的にも大きな負担になります。
4. 「日本の不動産会社=安心」という誤解
日本人投資家は、現地ではなく日本にある不動産会社を通じて購入するケースが多いです。
しかし実際には:
- 販売だけを担当し、売却・管理には関与しない
- 現地事情に詳しくないケースが多い
- 購入後のトラブルには対応しない
ということもよくあると聞きます。私の上記のようなことはありませんでしたが。
「日本語が通じるから安心」という気持ちは理解できますが、サポートの実態や手数料の透明性には注意が必要です。
現地のプロと直接つながる努力を怠ると、最終的に“孤立無援”になってしまう可能性もあるのです。
5. 出口戦略が甘くなりがち
日本人は「購入=成功」というイメージを持ちがちですが、海外不動産、とくにプレビルド投資では「どう出口を設計するか」が最重要です。
具体的には:
- 完成前に売れなかったらどうするか?
- 賃貸として運用できる体制があるか?
- 長期で保有する覚悟や現地サポート体制はあるか?
私は「売る」ことしか考えておらず、売れないとわかった時点で打つ手がありませんでした。結果、損失を出してキャンセルせざるを得ませんでした。
購入時点で、「売れなかったらどうするか?」を必ずシミュレーションすべきです。
私の結論:日本人こそ“地に足のついた投資”が必要
海外プレビルド投資は、「成長率」や「高利回り」に目を奪われがちですが、リスクも極めて高いです。日本国内では想像しにくいトラブルや、対応スピード、契約文化の違いなどがあり、過信は禁物です。
もしチャレンジするのであれば、次の5つは必須と感じています:
- 現地視察と信頼できる現地パートナー探し
- 法制度とトラブル時の対応策の理解
- 複数の出口戦略(売却/賃貸/保有)を持つ
- 手数料構造や収支の冷静な見積もり
- “自己責任”を徹底できるマインドセット
まとめ:知識と準備があれば、道は開ける
今回のテーマは「なぜ日本人にとって海外プレビルド投資は難しいのか」でしたが、逆にいえば、ここまでの障壁を理解し、乗り越える準備ができればチャンスもあります。
私の失敗が、これからチャレンジする方の道しるべとなれば嬉しいです。
次回は、「日本の不動産投資と海外プレビルド投資の違いと比較」について詳しく解説します。