海外不動産投資における情報源の選び方と信頼性の見極め方

第8回:海外不動産投資における情報源の選び方と信頼性の見極め方

こんにちは。前回までの記事では、私自身がフィリピンのプレビルド不動産で経験した失敗から、今後の投資戦略までをまとめてきました。

第8回では、「なぜ自分が失敗したのか?」を深く掘り下げ、その中でも特に大きかった要因である「情報源の見極め不足」についてお話しします。


1. 情報不足が生む海外不動産投資の大きなリスク

国内不動産なら、SUUMOや健美家、各自治体の固定資産税評価額、過去の売買履歴など、調べられる情報が豊富です。しかし海外では、「何を信じていいのか」すらわからないという状況に陥りやすくなります。

私の場合も、最初は日本の不動産会社を通じて安心感を得ていましたが、徐々に「現地の相場は?」「SMDCとの契約は本当に有効か?」といった不安に変わっていきました。販売資料に書かれた将来予測は、あくまで楽観的な前提によるものが多く、確証のない数字に自分の判断を委ねてしまったのです。

最終的には、SMDCに直接英語で問い合わせをしても返信がなく、「自分が何に基づいて投資判断したのか」が見えなくなってしまいました。加えて、契約書の内容も難解で、英文を十分に理解できていなかったことも、後のトラブルの火種となりました。


2. 海外不動産の情報源はどこからくるのか?

情報源は、大きく以下の4つに分けられます:

  • ① 日本の不動産会社・販売代理店(セミナー・資料)
  • ② 海外現地の不動産会社・デベロッパー
  • ③ 海外不動産投資家・SNSやブログでの個人発信
  • ④ 現地ニュース・公的統計・不動産ポータルサイト

特に日本人向けに開催されるセミナーや紹介資料は、前向きなシナリオが強調されがちで、リスクに関する記載が非常に薄い傾向があります。たとえば「完成後には賃料が月10万円になる見込み」「年5~10%の価格上昇を想定」といった予測が、まるで確定事項のように語られることがあります。

また、海外の不動産会社の中には、自社の利益を優先して販売を進めるあまり、実際の完成率や過去の遅延リスク、現地の経済変動などについて十分に説明しないケースも散見されます。


3. 信頼できる情報源の条件とは?

私の経験をもとに、以下のような視点で情報源を見極めることが重要だと痛感しました:

  • ① 具体的な過去実績の提示(販売件数だけでなく、売却成功率など)
  • ② 現地法人・支店があり、現地に常駐しているスタッフがいる
  • ③ シミュレーションに複数のシナリオ(悪いケース)も含まれている
  • ④ 契約後の対応力・アフターサービスが明記されている
  • ⑤ ネガティブな評判への対応姿勢が確認できる(Googleレビューなど)

たとえば、物件が完成しなかった場合の返金ルールや、入居者が見つからなかった際の対応など、最悪のシナリオに備えた説明を丁寧にしてくれる会社は、信頼度が高いと感じます。逆に、あまりに夢のようなシナリオばかり語る担当者は、疑ってかかった方が良いかもしれません。


4. 私の失敗:どこで見誤ったか?

私の場合、日本に本社がある販売会社を通してフィリピンのプレビルド物件を購入しました。

・営業マンの言葉をそのまま信じてしまったこと
・現地の賃貸相場や市場動向を自力で調べなかったこと
・複数の不動産会社を比較せず、1社だけで決めてしまったこと

資料に記載された「5年後には物件価格が1.5倍に」という試算を鵜呑みにし、値上がりしなかったときのシナリオや、出口戦略を想定していませんでした。販売会社は「売れますよ、大丈夫です」と繰り返していましたが、実際には売却のサポート体制は整っておらず、結局私自身でキャンセルや交渉をする羽目になったのです。


5. 信頼性のある情報を集めるためにできること

以下の方法を取り入れていれば、もっと違った展開があったかもしれません:

  • 現地の不動産ポータル(例:LamudiProperty24など)で物件相場を確認
  • 海外不動産投資家のブログやX(旧Twitter)で実体験を収集
  • 海外在住の日本人や投資家にオンラインで相談(Facebookグループなど)
  • YouTubeでの現地物件レポート・視察動画のチェック
  • 地元メディアで政策や経済トレンドを追いかける(例:Philippine Daily Inquirer

また、翻訳ツールやChatGPTを活用して、英語の記事を読み解く努力も重要です。さらに、日本の不動産会社が提供するデータが現地と乖離していないか、二重チェックを行うことで、誤情報に踊らされるリスクを軽減できます。


6. 今後の情報収集方針

今後は、以下のような情報収集スタイルを徹底していきます:

  • ・現地の複数の不動産会社・ブローカーに直接コンタクトを取る
  • ・複数の口コミ・SNS情報と公式情報を照らし合わせる
  • ・現地に詳しい第三者(弁護士や会計士)に契約前のレビューを依頼

また、渡航可能な状況であれば必ず現地視察を行い、以下のポイントをチェックリスト化しておく予定です:

  • 周辺の開発状況やアクセス性
  • 現地人の生活実態と治安
  • 現地銀行やローンの仕組み
  • 物件完成済みか、建設中か

現地の弁護士を雇い、契約書レビューを行うのも重要なステップです。これには一定の費用がかかりますが、後の損失を防ぐ保険と考えています。


7. まとめ:情報源こそ海外投資の成否を分けるカギ

海外不動産投資は、夢があります。高いリターン、世界への資産分散、通貨の分散など魅力はたくさんあります。

ですが、「間違った情報に基づいた投資判断」は、全てを台無しにするリスクを持ちます。

投資は情報戦。特に海外では、その“目利き力”が問われます。情報の真偽を見極め、複数のソースから判断し、自分の頭で考える──それが海外投資の第一歩です。

この経験から、私自身も常に「調べる力」「疑う力」「比較する力」を高めていく必要性を感じました。

次回は、「フィリピンと日本の不動産投資家としての心構えの違い」についてお届けする予定です。

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