第7回:私の投資戦略の今後──失敗を糧に再構築するポートフォリオの考え方
こんにちは。これまで6回にわたり、私がフィリピン・マカティの不動産に対するプレビルド投資で経験した失敗を、実体験を交えてお伝えしてきました。
今回の第7回では、その失敗をどう活かし、今後どのような投資戦略で資産形成を進めていこうと考えているのか、率直に共有したいと思います。同じように投資で迷っている方のヒントになれば幸いです。
1. 過去の戦略の振り返りと見直し
私は以前、「東南アジアの成長性に期待し、キャピタルゲインを狙ったプレビルド投資」を主軸に据えていました。日本の不動産よりも高い利回り、人口増加と経済成長による不動産価値の上昇──そうした“期待値”に引かれたのです。
しかし、現実は異なりました。販売資料にあったような値上がりは起きず、むしろ売却もままならず、3年間で毎月約7万円を支払い続け、最終的にはマセダ法によるキャンセルという形に。精神的・金銭的なストレスは大きく、私の中で「投資とは、安心して保有できるものであるべき」という考え方に変わっていきました。
特に、売却先が見つからなかったときの“出口戦略”の重要性や、物件価格が上がると信じきっていた自身の思考に、今では大きな反省があります。
2. 新しい戦略①:リスク分散と流動性重視のポートフォリオ
最も大きな反省は「全体の投資バランスが偏っていたこと」です。海外不動産という、情報格差も流動性も高リスクなアセットに、あまりに大きな比率で投資していたのです。
今後は、以下のようなバランス重視の戦略を意識します:
- インデックスファンド(全世界株式/米国株式)をコアにする
- リート(J-REIT、海外REIT)で分配収入を得る
- 日本国内の不動産はインカム狙いで一部保有継続
- 生活防衛資金+機動的に使えるキャッシュも一定保有
実際、今はオルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)を中心に月5万円を積立中で、これをNISAで最大化する予定です。また、バランス型ファンド(セゾン・バンガード・グローバルバランス)も検討中です。
3. 新しい戦略②:日本国内不動産の再評価
今回のフィリピン不動産の失敗を経て、逆に日本の不動産投資の“透明性・安定性・収益管理のしやすさ”を再認識しました。
・確実に入金される家賃
・日本語で完結する契約・管理
・高くはないが安定した利回り
今後は、日本国内の中古物件を対象に、「利回り6〜8%」「エリアの将来性」「管理の外注化が可能か」などの観点から、慎重に追加購入も検討しています。たとえば、埼玉や群馬などの郊外エリアで築古アパートを安く仕入れ、外壁・水回りを部分リフォームして付加価値をつける投資手法に注目しています。
また、地元の信用金庫との関係を深め、物件購入時の融資相談も事前に進めておく予定です。
4. 新しい戦略③:インデックス投資と積立型制度の活用
改めて重要性を実感したのが、NISA(つみたてNISA・新NISA)や、iDeCoの活用です。為替リスクや手数料の不透明性が少なく、時間をかけて資産を積み上げられる点で、私のような「堅実志向」にとって最適な選択肢だと感じました。
具体的には:
- 新NISA成長枠でeMAXIS Slim S&P500を月10万円
- つみたて枠で楽天・オルカンを月3万円
- iDeCoでSBI・全世界株式(雪だるま)を月1.2万円
合計で年間300〜400万円の積立を軸に据え、リバランスは半年に1度見直すようにしています。暴落時には追加投資する“キャッシュポジション”も別途確保中です。
5. 海外投資はどうするか?
今回のフィリピン投資は失敗でしたが、海外投資自体を完全に否定するつもりはありません。ただし、再挑戦には明確な条件があると思っています。
- 現地にパートナーや知人がいる
- 実際に現地視察ができる
- 賃貸・管理を外注できる仕組みが明確
- 万一失っても良いリスク資金の範囲で行う
今後もし再挑戦するなら、タイ・ベトナムのような現地の成長性が確かで、かつ物件価格が現実的な国を対象に、視察と現地契約を行った上で進めるつもりです。
また、投資だけでなく、「生活」「仕事」「教育」などと結びつく海外拠点の可能性を視野に入れることで、より意味のある海外アセットとして捉えていきたいと考えています。
6. まとめ:失敗は損失ではなく、未来への“経験値”
今回のフィリピン・プレビルド投資で私は約220万円の損失を出し、さらに3年間の不安という“見えないコスト”も背負いました。
けれど、それを通じて得られた経験──
- リスクの可視化
- 契約書の読み方
- 出口戦略の必要性
- 精神的に続けられる投資の重要性
──これらは、私にとって何よりの財産です。
投資において、成功体験よりも失敗体験の方が、次の選択に深みを与えてくれる。そう信じて、これからは“自分らしい戦略”で資産形成を続けていきたいと思います。
次回は、海外不動産投資における「情報源の選び方と信頼性の見極め方」について、私なりの視点で整理してみたいと思います。